私はI社に入るまでの10年間、システムエンジニアとして企業向け業務アプリケーションの開発を行ってきました。
ある時、関東の財団法人向けの契約管理システム構築にあたっていたプロジェクトリーダーが突然体調を崩してしまいました。
と、当時の上司が私を呼びます。
”おー、まえだくん、ちょっと助けてくれへんか?”
はいはい、なんでございましょう?
”おー、あんなぁ、坂本くん、体こわしてしもたやろ?ちょっと悪いねんけど助けたってくれへんか?”
当時私が抱えていたプロジェクトは佳境を越え、調整段階に入っていた為、余程暇に見えたのでしょう。
えーですよ。喜んで!
”そーか。んで、急で悪いねんけど来週から東京で並行稼動やねんけど、まだ半分ぐらいしか出来てへんねやわ。多分、エライことなる思うから、東京まで行って、ちょっとあんじょうやったってんか?”
はぁ?
てな事で、初めての長期出張。2ヶ月間、埼玉に借りてもらったワンルームマンションに住むことになりました。
作りかけのシステムをよく見てみると、画面はそれっぽく出来てるが、中身のロジックが殆ど出来てない。
作り直しやな。こらえらいことなるなぁ。。。と一抹の不安を覚えながら、ある程度落とし所に目処をつけて東京へ向かいました。
東京本社のプロジェクトメンバーと挨拶し、元気はあるがほぼ新人、納期もタイトなので、実質俺一人で頑張らなあかんなぁと思いながら、借りてもらったマンションへ向かいました。
何も無い。布団どころかテレビも無い。吉幾三の歌が頭を巡りました。
幸い着任が金曜日でしたので、その日は体育座りして夜を明かし、土曜日に当面の生活用品を揃えに買い物に行きました。
せっかくなので、ギター・マガジンなどでよく見ていた神田の楽器屋さんをふらりと訪れました。
そこで見かけたフルアコ、ギブソン ES-165 ハーブ・エリス モデル。
それまで、セミアコと呼ばれる薄いボディーのアコースティックギターは所有した事がありましたが、フルサイズは持っておりませんでしたので、ムラムラと来た私はいつもの癖で「ちょっと弾かせてもらっていいですか?」と。
パワフルな音、トーンを絞って出るウーマントーンは自分が弾いていてもゾクゾク来ました。
また、アンプに繋がずとも生音が大きい。これは相当ポイントが高かった。
これや、これしかない。これさえあれば、むちゃくちゃなプロジェクトもきっと上手くいく!(はずや!)
今思っても随分強引な思考プロセスを経て、ニコニコ36回払い。
早速お持ち帰り。
真夏日の炎天下、汗だくになって重いギターを持って帰りました。
生活用品は送ってもらったので、明日到着予定。
がらーんとしたお部屋には、私とギターとパソコン。
でも、もう寂しくな~い!
モチベーションがマックスになった私は精力的に仕事をこなし、順調にプロジェクトを遂行し、スケジュールの遅れをなんとか誤魔化しながら帳尻を合わせましたとさ。
上司が様子を見にやって来た時、何もない部屋にギターのハードケースがデン!と置いてあるのを見て一言、
”きみ何しに来てんのや?”
いや、あの、寂しかったので。。。
このギター、実はライブハウスなどのちゃんとしたステージでの出番は殆ど無く、バンジョー編で紹介したアンプラグド演奏でバンジョー半分、ギター半分でよく活躍したギターでした。
もうちょっとおじいちゃんになったら、これでしっとりと大人サウンどでジャズを弾きたいなぁと考えていたりする、”永遠のロックンローラー”前田でした。
やっぱり夏はロックですな!
執筆: 2010-06-05
Gibson ES-165 '95
SerialNo.91195316
ギブソン ナッシュビル工場において1995年4月29日、16番目に創られたギター
Serial number: 91195316
Production year: 29 April 1995 (serial nr.: 316)
(Manufactured in Nashville or Memphis. Acoustic: Bozeman, Montana)
ハーブエリス!
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Gibson ES-165 '95
SerialNo.91195316
25歳の時、東京出張の合間の休日に、お茶の水に遊びに行って、気が付いたら手に持っていたギター
https://www.facebook.com/note.php?note_id=157084507655426


