夜間・休日の緊急時、駆け付け15分。
通常では考えられないサービス要求に対して、I社は簡単にNoと言いませんでした。
どうしたら出来るだろうか?懸命に考えました。
ただ単に、お客様にYesと言うだけであれば誰でも言えるでしょう。これを「やるからにはきちんと収益をだし、継続性を持たせること」、この命題に対して我々が出した答えが「やりましょう」でした。
モノあふれ、モノ余りの時代にあって、これから求められるのは「サービス」です。しかも他が出来ない事をやる事が生き残りの道となります。逆説的に言えば、これら付加価値や差別化を図れない企業は存続すら危うい時代の到来です。
我々I社はITインフラストラクチャにまつわるサービスプロバイダーに軸足を置き、大義に「雇用創造」を掲げ、若年層の雇用創出に邁進してまいりました。
未経験者、無資格者を積極採用し、彼・彼女らに教育+業務を通した自己成長の環境を創造、提供する。これは言うは易し行うは難しです。
他社が出来ない事を請ける事でこれまで事業を拡大して参りましたが、その一つの要因として低価格で高品質なサービス提供というものがありました。これは起点の想いとその継続の賜(たまもの)であります。
世間一般的には無謀と言われた未経験者のIT業界への中途参入という大きな壁を崩すのに一役を担った事は、厳然たる事実であると考えております。
然しながらこれまで主戦場であったこのレンジの業務は、今後は単なる価格面のアドバンテージというだけでは既にレッドオーシャンとなりつつあります。
企業における財(たから)はこれ即ち「人」であります。我々は「倫理観・ビジネスマナー」という人としてのベーススキルをもってブランド化を図って参りましたが、昨年より、更にこれらを進化発展させて、CSH(CSホスピタリティ)への取り組みとして新たなチャレンジを始めております。
また、多様化する市場ニーズへの対応および、働く意欲があって、なかなか働く環境を得難い方々への雇用創造というテーマに対し、ハーモニーやケアといった兄弟会社を設立、それぞれに社会貢献への挑戦を推し進めています。
そういった意味では、当社、I社は何をしている会社か?と問われれば、「人(人物)を創っている会社であり、ITもやってます」というのが最も近い答えなのではないか?と大阪支店の朝礼でお話した事を思い出します。(松下幸之助翁の言葉を拝借しました)
これら、会社の想い、理念、ビジョンというものについては、従業員一人ひとりが同じ価値観で共感・共鳴し、全社員一丸となって更なる雇用創造へと突き進んでゆかねばなりません。
さて、前置きが長くなりましたが、冒頭で紹介した「駆け付け15分サービス」、実現の答えとしては、営業部員の輪番対応でした。今年度より諸般の事情にてシフトからは外して頂いておりますが、開始当初は月に1度程度回ってくる当番の日は、駆け付け対象施設の近くに借りた住居に詰め、なにかあった際にはそこからスクランブル、という対応をしておりました。このサービスは今なお継続中です。
さて、初めての輪番対応、私の時は休日の夕方からの当番でした。
関東に来てはや4年経過いたしますが、未だに知らない場所に向かう際には大変緊張します。
その日も1時間早く現地近くに到着し、近所を散策しておりました。実に目に毒な街だなぁと思いながら。。
私の前の当番にあたっていた祓川某と交代引継も兼ねて近所のカフェで打ち合わせし、さよならの後、食事を済ませて詰所に向かおうと考え、さらに渋谷の街をブラブラと。
土曜日夕方という事もあり、様々な人々が行き交います。いつも電車の窓から見ていた楽器屋さんの前に佇むこと数分。色々な想いが頭を過ぎります。
16時間という長い時間を如何に過ごすか? 十分にシュミレーションしてきましたが、夜はやっぱり寂しいだろう。一人ぼっちの部屋で涙なんか流してしまうんじゃないだろうか?そー考えると鼻腔の奥がジーンとし、本当に目頭が熱くなってきました。
ふらりと入った店内。この界隈で活動或いは練習しているのであろうギター小僧が沢山居ます。
ほほう、試奏している君、その試奏用の必殺フレーズ、練習してきたんだろうね。頑張れよ!
おっ、君が眺めているその楽器、目の付け所が渋いねぇ。これはね、実は今はアメリカで作ってるんじゃなくて、日本の愛知県で作っているらしいよ、知ってた?
ふむふむ、そーだよね。いつかはクラウン、いや、’59年レス・ポール、男のロマンだね。解る、解るよ~。
暖かい保護者目線で店内をパトロールしながら心の声で語りかけてゆきます。本日も異常なし。平和が一番!
そんな事を考えながらブラブラしていたその瞬間、鋭い眼光が突き刺さります。
熱いまなざしの元をたどればそこにはギターが一本。
(き、君は、、、誰?)
『小僧、貴様は本当のロックを知っているか?』
シャガれた声が聞こえてきます。
(ロック? ああ、もちろん。よく知っているとも。しかし俺は小僧じゃない!)
『俺様にしてみれば貴様などはお尻のカラも取れてないヒヨッコだよ。ふぉふぉふぉっ』
(悪いんですけど、僕、これから仕事なので、、)
『ちょっと待て!』
(なんなんですか?僕を悪の道に連れ戻さないで下さい。今は真面目に働いている勤労青年なんですから!)
『青年というより、既に中年やろ?』
(まぁっ、なんて失礼な!)
『まぁ良い、ところで俺をここから連れ出してくれないか?そうしたらお前に本当のロックを教えてやる。』
(ロック?、ロックのことなら貴方に教えを乞わずともそれなりにロックな生き方をしてきたつもりだ!それに俺はこれからはロックなんて野蛮な音楽は卒業して、もっとしっとりと大人なJazzやモーツァルトなんか聞いて心豊かに残りの余生を過ごすことに決めているんだ!)
『果たしてそうかな?』
(じゃ、急ぎますんで。。)
『あ~、ちょっとちょっと、待ってよ~ん。ちょびっとだけ遊んで行かない?』
(うーん、歓楽街の呼び込みみたいになってきとるやんけっ!)
『まぁそ~言うな。ちょっと俺を弾いてみろ。ちょっとだけで良いから。だーいじょうぶ、心配する事なんか何もない。何もせーへんってぇ。』
(うーん、なんかちょっと昔の俺を思い出す必死さやな、、でも、俺、もう嫁さんと約束したし。もーギターは買わないって。。。)
ん?店の奥から聞こえるあのリフは、、?
Walk this way、
エアロやぁ~、そら君、エアロスミスやないか!
・・・
しっかし、ジョーペリーに失礼やぞ、そのヘロヘロギター。
俺が一発、ホンモノのロックというのを、、、
「すみませ~ん」
お店の人に試奏をお願いしていました。ここから先は良く覚えていません。何しろ無我夢中でした。
決して高価では無いが、しっかりしたクリアで図太いサウンド、ビート&グルーブが心地よく私を包みこみます。
簡素なボディーからは想像もつかないほど、グイグイと粘りのある中音域、ルート+5度、ロックの王道バッキングが妙に心地よい。レスポールと名はついて居るが全くの別物。うーん、これぞロッケンロ~ル!
ありがとうございましたぁぁ!
店員さんの百万弗の笑顔が私をお見送りします。
現在、渋谷のそのマンションに大切に保管されているそのギター、もう少しほとぼりが冷めたらお家へ持って帰ろうと思いますが、今はまだその勇気がありません。
時折、イカしたロックな持ち帰り方をイメージトレーニングしては、妻との応酬シュミレーションに毎度惨敗し続ける毎日が続きながら、季節は既に2つ過ぎ去りました。
Epiphone Les Paul Jr.
マウンテンのレズリー・ウェストで有名ですが、意外に多くのミュージシャンに愛されたこのギター。
ローリング・ストーンズのキース・リチャーズ、エアロスミスのジョーペリー、ゲイリー・ムーアなど、ロックの王道を行く人達が往年のロックを演奏しております。
Epiphone(エピフォン)社は1940年代までギブソン社の対抗馬とされたが、1957年にギブソン社に買収され、ギブソン社のギターの廉価版モデルを主に販売している。
夜間待機の当番の直前。時間つぶしに入った楽器屋さんで衝動買い。夜の夜間待機のお供に、と思って。。。

